こうして小川港で水揚げされた鯖を岩清が加工し、鯖寿司、金沢のへしこの原料として関西地方にとどまらず、北陸地方に出荷されていきます。岩清を含めた焼津の5社で関西地方に出荷される鯖寿司の原料となる塩鯖のおよそ8割を占めているそうです。関西地方で売られている鯖寿司の原料は焼津で獲れ、岩清によって加工された塩鯖かもしれないのですね。岩清の技術あってこその鯖寿司とも言えますね。
また塩鯖の出荷以外にも、焼津で加工される黒はんぺんの原料の80%を当社が担っているということでした。原料となる鯖は黒はんぺん屋で捌かれ、加工されるわけではなく、当社で捌かれたものが原料として出荷されているそうです。智子さんは「小さい会社ではあるが、原料で黒はんぺんを下支えしている」とお話ししていました。
小川港で水揚げされる鯖のほとんどを当社が買い付けている状況だそうです。小川港の鯖の相場は1.2倍と高いため他の業者は石巻や九州から買い付けているところも多いということでした。近年の鯖缶ブームで価格が高騰しているというお話でしたが、鯖は将来的にも枯渇の心配が少ない潜在資源だということです。智子さんは鯖の魅力として「体に良いことは確か、まだ国内で獲れる資源であるし、その豊富さから生産の調整が効きやすい」ということを挙げられていました。
実は日本人の食文化の変化により、鯖寿司の原料となる塩鯖の出荷も減ってきています。岩清では小川港の鯖の需要を消滅させないためにも、塩鯖以外の鯖関連商品の開発に力を注いでいるようです。現在も鯖関連商品で15品あるということでしたが、商品開発のたゆまぬ努力と小川港のせりで買い付けるこだわりが、焼津、そして日本の貴重な資源である小川港の発展と存続につながっていくのですね。