2019.05.14焼津鰹節伝統技術研鑽会

2019年5月14日 7:30~10:00
焼津鰹節水産加工業協同組合

~焼津鰹節の技を次の世代に伝える~

鰹節研鑽会とは、昔ながらの伝統的な鰹節作りの技術を次の世代に伝えていこうという取り組みです。本日はわたくし、静岡福祉大学4年紅林慶太がレポートさせて頂きます。

 

本研鑽会について焼津鰹節水産加工業協同組合 理事 井之上茂利様に話を伺いました。

焼津では1970年代に急速に機械化が進んだことによって従来の伝統的な技法による鰹節の製造が減少していきました。このままでは伝統的な技術が失われてしまう、基本無くして発展することはないという考えのもとで伝統的な技術を若い世代に伝えるための技術指導の場として鰹節研鑽会が1983年に発足しました。

 

鰹節の歴史は古く、製法に変化はあれども1300年前からずっと今に続いています。それだけ鰹節には魅力があるし機械化によって失うわけにはいかないのです。

機械化によって包丁を使わず鰹を捌くことによって大量生産に対応することは出来ますが、形を整えて切断することが出来ないためにカビで長期間熟成させた本枯節を作ることも出来ません。

残念ながら現在は流通の9割がカビで長期間熟成させていない荒節となってしまっています。めんつゆやだしパックへと需要がシフトしていったために形はこだわらないためです。

1960年代から70年代は、機械化のみならず新幹線や東名高速道路の開通によって流通が大きく変化したために、需要も大量生産へと大きく変わっていった時代でした。

ベテラン技術者が指導員として若手に生切の技術指導をしているところです。自分以外にもカメラで撮影している人が居ます。テレビ局や新聞社の方も何名か来ていました。

機械ではなく包丁を使うことで形を整えて切ることが出来ます。見栄え、姿形の美しさだけではなく、歩留まり率も違えば、何より味までもが変わっていきます。例えば油分が多い鰹では粉っぽくなるなど綺麗な削り節になりませんが、油分は機械では選別することが出来ず人の手で判断する必要があります。

指導員が切った鰹を確認しながら並べているところです。きれいに並べないと煮た時に形が崩れてしまいます。

包丁も専用のものを使っています。自分は包丁にはあまり詳しくないのですが、長年使いこまれた包丁であることは自分でも見て分かりました。

鰹をこれから1時間ほど煮熟しようとしているところです。煮終わったら冷水につけて冷やすことでなまり節となり、骨を抜いた後に焙乾を行います。骨をきちんと抜かないと焙乾時に形が崩れてしまいます。

煮ている最中には美味しそうな香りが漂ってきたのでお腹が空いてきました。ちなみに今回の研鑽会では、煮ている最中にもう1周生切を行います。

指導員の方々が何度も温度をチェックして沸騰しないように調整していました。沸騰することにより大きな泡が生じてしまい、煮崩れが起こってしまいます。

ザルの中に入っているものは鰹の心臓やパテです。パテは後ほど鰹のヒビを修復して形を整えるために使用します。心臓は後ほど皆さんのおつまみになるそうです。

今回の研鑽会で作られた鰹節は、5ヶ月ほど掛けて5回のかび付けや熟成を重ねて最高級の本枯節となり、11月に皇居で行われる新嘗祭にて天皇陛下に献上されることになります。

 

手火山という焙乾装置です。下からナラやクヌギを燃やして燻していきます。焼津では1週間から10日ほど焙乾を重ねるといったように、焙乾を重視しています。

今回は10時までしか取材することができなかったので残念ながら使用するところを見ることができませんでした。

今回の取材を通じて自分が考えたことは、近年は製造業に限らず様々な分野でIT化の必要が叫ばれていますが、従来の伝統的な技術の継承も同時にしていく必要もあることです。ITは伝統技術と決して対立するものではない、むしろ大量生産の時代が終わり多様化の時代となったからこそ伝統的な技術に目を向けていく必要があると考えました。本日は日本の伝統技術や地域の文化について考える良い学びの機会を頂き本当にありがとうございました。

2019年5月14日

静岡福祉大学4年 紅林慶太